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貸渋り・剥がしが発生する理由

1.信用保証協会の責任共有制度の影響

(1)2007年の10月より、信用保証協会の保証について従来信用保証協会が融資金額の100%を保証していたものを、一部の例外を除いて80%保証とするもの
→ 金融機関側にとってノーリスク融資から20%リスク融資への変換

(2)責任共有制度発足以前であれば、中小企業は実質信用保証協会の審査だけパスできれば極端に言えば格付に関係なく金融機関から借入ができたが、本制度発足後は金融機関のプロパー融資と同様の審査もパスしなければ借入できない
→ 仮に金融機関の審査がパスできても金融機関側の20%リスクを踏まえた金利引き上げのケースもあり

2.最近の貸し渋りに係る金融機関側の背景と対策

(1)背景
次の二つの要因により金融機関の体力が減少(金融機関の自己資本比率の低下)した結果生じたもの
  1. サブプライムローンに端を発した不動産業・建設業等の倒産激増による金融機関不良債権処理費用の増加
  2. 株式等有価証券価格暴落による金融機関含み益の減少と評価損の発生

(2)金融機関側の自己資本比率低下を防止する対策
  1. 増資等による自己資本額の増強(分子対策)
  2. リスクの大きい融資の抑制(分子対策と分母対策)→ 貸し渋り・貸し剥がし

3.貸し渋り・貸し剥がしの基本的メカニズム

(1)リスクの大きい融資を避けることで貸倒による損失発生を防ぐ(分子対策)と同時に、融資増加による資産残高増加も抑制する(分母対策)のが貸し渋り
  1. 中小企業融資は大企業融資に比べ収益率が大きいため平時であればリスクを上回るリターンを期待して融資推進を行うが、不況になると体力が弱いがゆえに平時よりもリスクが大きくなることから、リスク回避最優先で相対的に中小企業が貸し渋りの対象となる
    → 但し、格付にとって程度がかなり違う
  2. この貸し渋りは、本来は金融機関のプロパー融資のみだが、責任共有制度に伴い、保証協会の保証付融資も金融機関が20%のリスクを負っているため対象となる。
    → 100%保証による緊急保証制度の活用による融資が貸し渋りの例外

(2)さらに究極の分母対策として、既往の貸出金を回収するのが貸し剥がし
  1. 貸し剥がしは分子対策も兼ね低格付の中小企業が最初のターゲット
  2. 自己資本比率が厳しくなると、資金ロットの大きい大企業も対象となる。